インフルエンザワクチン接種の是非について

外来で今最も聞かれる質問が、「妊婦にワクチン接種をして大丈夫なんですか?」という質問です。
今回のワクチン接種は、任意接種で強制接種ではないこともなおさらどうしたらよいか迷うところだと思います。

何回も書いてきましたが、クリニックでは新型インフルエンザワクチンについても季節性インフルエンザワクチン同様に接種を妊娠中、授乳中にも勧めています。もちろん、副作用などのリスクは承知して頂いてのうえです。

ワクチン接種の優先順位では医療従事者の次に挙げられているのですから、妊婦さんの新型インフルエンザに対するリスクの高さは厚生労働省の方も充分にわかっていらっしゃると思います。
ただ、現状として今まで妊婦へのインフルエンザワクチン接種について積極的ではない厚生労働省の見解があり、逆に海外では積極的に接種を勧めています。
またワクチンの添付文書にも有益性投与と書かれてあり、妊娠中の使用については是非を明らかにしていません。
これらのことから医師の間でも接種の是非について意見が異なる事が大きな問題です。
従って季節性、新型のインフルエンザワクチンの接種を問い合わせたら「妊婦さんにはうちではワクチンは打てない」と言われ、一方でうちのように接種を勧める医師との間で困惑される方も多いと思います。

しかも結局は自分で決めるしかないというのが正直な所です。思いつく所で接種する、しないそれぞれのメリットを列挙すると・・・

インフルエンザワクチンを打たないことのメリット

・ワクチンによる副作用のリスク回避
・インフルエンザに罹患しなければ、予防接種代、治療費などの医療費がかからない。
・嫌な注射を受けないで済む(これは噴霧式のワクチンが完成すれば解決されそうです)

インフルエンザワクチンを打ったメリット

・罹患する確率が大幅に低くなるので、妊娠中、育児中の罹患による心配が少なくなる。また重症化して自分や胎児を危険な状態するリスクを軽減できる。
・生まれた赤ちゃんへの感染もリスクが減る。
・タミフル、リレンザなどの薬は安全と言われているが使用しないで済む可能性が高い。
・罹患した時が流行の最盛期の時は発熱、全身倦怠感で辛いのに何時間も診察にかかる可能性もありますがそういったことをかなりの確率で回避できる。
・爆発的な流行を回避できる。

最終的には、副作用の起きる割合と、実際にかかったときの重症度・周囲への影響などを天秤にかけて検討してご自分できめていただくしかありません。

外来でこんな質問がありました。
「もし、先生の奥さんが妊娠していたらワクチン接種はやりますか?」
う~ん、いい質問!!と言いたいところですが、残念です。こういう仮定での質問には答えられません。
仮に答えるとしても・・・、いやご想像にお任せします(笑)。
あくまでご自分で決める、それしか私には言いようがありません。

 

by booska1958 | 2009-10-09 00:11 | インフルエンザ関連情報 | Comments(0)

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